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【美術鑑賞】世界のブックデザイン 2014-15@印刷博物館 P&Pギャラリー

彼の提案で「世界のブックデザイン」展へ。

どんなものが観られるか楽しみにしていたのですが、期待を裏切らないというか期待以上のブックデザインの数々を目にすることができて嬉しかったです。
私はデザイン関係の仕事をしているというわけではありませんが、もともとデザインやフォントを含め、本の装丁に興味があったので今回の展示ではいろいろと刺激を受けました。

数ある本の中でも目に付いたのはモノクロの装丁のもの。
表紙がモノクロだったりモノクロの写真を全面的に使っていたり……そんな本に惹かれましたし、ミニマムな表現というものについて考えるきっかけをもらいました。
モノクロに惹かれる理由は何なんだろう、と考えていたのですが、それは「現実(今という時代そのもの)」から逃避することを志向する私にとってモノクロは最も端的な逃避手段であり表現手段なのかもしれない、と思い至りました。

そしてふとモノクロの写真を撮ってみるとまた違った世界が見えてきそうだな、と思いつきました。
今回展示された写真集の中にも見る者の不安を掻き立てるようなモノクロの写真が集められた一冊があって「こういう主題のよくわからないものの方が自分の心象風景を的確に表現できるのかもしれない」とも思ったのでした。
写真というものの表現の可能性を垣間見た気がして、収穫のある展示だったなと感じています。

収穫といえば、なによりも中国のブックデザインの洗練されたセンスを目の当たりにできただけでも大いに得るものがありました。
中でも気に入ったのは「湘夫人的情詩」と題された詩集。紫をキーカラーに、繊細な花々とともに漢詩が品よく並んでいるさまは美しかったです。
他にも敦煌をテーマにした本は古典籍をイメージしたような装丁だったり、紫禁城をテーマにした本はユーモアに富んでいたりと、見所の多い本が並んでいました。
中国のブックデザイン賞は装丁だけでなく「中国の文化を伝える本」を選考対象にしているそうで、選考対象外の本にもきっと秀逸な装丁の本がたくさんあるのだろうと思うと夢が広がります。

彼は中国の愛書文化を指摘していましたが、云われてみれば中国は書籍を愛好する文化が連綿と受け継がれてきたのですね。
(そういえば私が気になっている本に『書誌学のすすめ―中国の愛書文化に学ぶ』という本があったのを思い出しました)
一昨年のトーハクでの故宮博物院展でも四庫全書などが展示されていたのが思い出されます。
現代でも形を変えてそうした愛書文化が引き継がれているのは頼もしくもあり、また中国へのロマンを掻き立てます。

日本のブックデザインは残念ながらこれといったものが見当たらず……。
昨年出た泉鏡花(作)/山本タカト(画)『草迷宮』特装版も展示されていたのですが、私は入手できなかったこともあって想像をたくましくしすぎたらしく、現物のデザインにはがっかりしてしまいました。もっと重厚感のあるデザインだと思っていたのです。
小口がライムグリーンだったのがなによりもがっかりポイントだったかもしれません。

池澤夏樹訳の『古事記』もそれほどでもないような……。
もっとデザイン性に秀でた本はたくさんあるはずなのに、どこか出し惜しみしているのかな? という印象を受けました。
唯一はっとさせられたのは森山大道の『ヴィヨンの妻』をイメージした写真集。
実は観たかったにもかかわらず観そこねてしまった展示の写真集でもあったこともあり、またモノクロ写真であったこともあり、強く心惹かれました。
森山大道、前から気になっていたのですがなかなか写真を観る機会がなくて。
もっと写真展にも通ってみたら違う刺激を得られるかもしれませんね。


そして展示を観終えたのち、自分の本棚でブックデザイン賞を選ぼうと彼と企画し、さっそくやってみました。


1|やなぎみわ『Fairy Tale』
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少女と老女が織りなす、おどろおどろしい『暗黒童話』の世界。
朝日新聞の書評にも取り上げられたこともある、インパクト大な写真集です。
赤い表紙がひときわ目を引き、中身はモノトーンで構成されているデザイン性の高い一冊。
どうも私はモノクロ+赤の色彩がいっとう好きなようです。



2|玉三郎“美”の世界展 図録
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云うまでなく当代随一の女形・坂東玉三郎の写真展の図録。
図録にしては函入りと手が込んでいるうえに、表紙のデザインにはっと惹きつけられます。
中身の写真の配置もこの通り。さながらカタログのようになっています。
歌舞伎だけでなく舞台衣装や小道具の数々など、これ一冊で坂東玉三郎の歌舞伎役者人生を知ることができる一冊に仕上がっています。



3|北原白秋『思ひ出』
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彼の柳川土産としてもらった一冊。
掌サイズのレトロなデザインに白秋の叙情豊かな詩の世界が広がります。
白と赤を基調としているところが童話チックで愛らしい本です。



4|ジョルジュ・バタイユ『眼球譚』
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バタイユといえばこの本、と思い出す方も多いのではないでしょうか。
なんといってもこの函のデザインが目を引きます。
黒をベースとしたモノトーンデザインの本は重厚感があってやはり映えますね。
私は残念ながら『眼球譚』を光文社新訳文庫版で読んでしまったので、こちらできちんと読み直したいところ。
実はこの版は未読です……。

いかがだったでしょうか?
私は実際に自分の本棚の本でやってみて、ますます本への愛着を掻き立てられました。
これからももっともっと本を愛していきたいです。
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プロフィール

夕星桔梗

Author:夕星桔梗
元日本古代史ゼミ所属。作家志望のアマチュア物書き。

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