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【書評】灰原薬『応天の門』









ここ数日、小説に行き詰まっているので息抜きに灰原薬さんの『応天の門』を読んでました。買ったままだいぶ積んでたんです。
物語は平安時代を舞台に、在原業平と菅原道真がバディを組んで怪事件に挑むという筋書きなのですが、東京大学史料編纂所の本郷和人さんという方が時代考証をしていることもあってか、わりと安心して読めます。

私としては二巻の漢籍や銅鏡、お香をめぐる事件をなかなか興味深く読みました。このシリーズの(というか菅原道真の)スタンスとしては物の怪や祟りなどないというのが貫かれているのですが、これはあくまでも現代的な考え方だなぁとも思います。
おそらくサスペンスという体裁を取っているので京極夏彦風にせざるを得なかったのでしょうが。
まあ現代において時代物をいかに描くかということを考えると、それもひとつの方法ではあるのかなぁと思います。私としてはやっぱり当時の人々がいかにものを考えていたかということの方が大事ではあるのですけども。

ともあれ漫画など久しく読んでいなかったので、その良し悪しは今ひとつ分からないのですが、また古代史を勉強したいなと思わせるだけの力はある作品だと感じました。
小説が一段落したらまた勉強を再開したいです。


2015.10.10 追記
Facebookに同様の記事を載せたら、日本古代史を専攻している大学院生の知人からコメントをいただきました。
“菅原道真に関しては、同時代の三善清行との対比で「儒教の合理主義の立場から方伎・術数に慎重だった道真」(山下克明『陰陽道の発見』NHK出版、2010年、p86)と評されることがあるので、キャラクター化に際してその側面を強調されているのかもしれませんね。”
とのことです。
そういうことだとはつゆ知らず、とても勉強になりました。

それからさっそく4巻も読みました。今回も物語にぐっと引き込まれました。伴善男も登場して、いよいよ応天門の変に向かって動き出したな、という感じ。道真の年頃の少年らしさも垣間見えて、キャラクターが生き生きしてきたなという印象を抱きました。卒論で日本古代の人々と夢について扱った身としては第二十一話はとても興味深かったです。
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夕星桔梗

Author:夕星桔梗
元日本古代史ゼミ所属。作家志望のアマチュア物書き。

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