スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【美術鑑賞】安田靫彦展@東京国立近代美術館



前々から気になっていたところに、彼が行きたいと云ったので一緒に観てきました。
安田靫彦というと国語の教科書にも載っていた「鴻門の会」の絵が未だに印象に残っていますが、今回は日本や中国の歴史故事に題材をとった作品が一堂に会した大規模な展示でした。

学生時代に記紀神話をかじっていたので、印象に残ったのはヤマトタケルや神武天皇、保食神や卑弥呼などでしたが、遣唐使や聖徳太子、物部守屋を主題にしたものなど古代史ファンとしても見所の多い展示でした。
同じヤマトタケルを描いていても場面によっては印象がまったく異なっていたり、布都御魂剣や草薙剣など剣ひとつとっても細部にこだわりが看て取れるなど、様々な発見がありました。

剣だけでなく、服飾品や髪型などは埴輪を参考にするなど、かなり徹底した時代考証をもとに描かれているのが伝わってきて目を見張るものがありました。
それでいて清廉な画風はそれらを主張しすぎず、上品なたたずまいに画家の人柄を垣間見るようでした。

清廉な画風というと、特に目立ったのは仏教絵画の数々です。
観音像などは既存の絵画をなぞらえつつもさわやかな色使いですらっと描いていて、気品を漂わせていました。
信仰の礎となっていた宗教画にとどまらない魅力が伝わってきたのが好ましかったです。
また風神雷神図は宗達のものとは異なる、まったく新しい解釈を加えていて面白かったですね。

さらに源氏物語をテーマにした絵画もいくつかあって、紫の上のかわいらしらには思わず見入ってしまいました。
「源氏物語絵巻」をあれだけ美しく、原画を踏まえつつも新たな絵画として描き出しているのは他にはない気がします。
源氏物語は全編読んだわけではないのですが、「帚木三帖」の場面は特に味わい深くて好きなので「帚木」を見られたのも嬉しかったです。


そして中国を題材にした絵画のなかではやはり王昭君に魅せられました。
王昭君といえば李白をはじめとして漢詩の主題に取り上げられてきた女性ですが、安田靫彦の解釈はちょっと私の意表を突くものでした。
あいにくと古代中国の服飾には明るくないので、どれほど史実を盛り込んでいるのかはわからないのですが……。
文様は安田の発案したデザインなのでしょう。うっすらと描かれた顔が引き立つような意匠です。
これまであまり王昭君を描いた絵画を観たことがなかったこともあって、インパクトが強かったですね。

Cfoo7BMUUAAS9wq.jpg
(左)卑弥呼
(右)王昭君


歴史上の人物を描いた絵画としては、他にも源頼朝・源義経を筆頭として、木曽義仲、豊臣秀吉、時代が下って山本五十六など、名だたる顔ぶれが並んでいましたが、やはり惹かれたのは上様(織田信長)でした。
隣に蘭丸くんが展示されていたのにも愛を感じました。

なにせ近代絵画ですからテンプレな信長像ではあるのですが、天下人の風格が漂う中にも品の良さが感じられます。
蘭丸くんもおちょぼ口の薔薇色のほほの美少年といったさまがかわいらしく、この二幅の絵画が並んでいるとさながら歴史小説のなかに入り込んでしまったような感を受けました。

CfoqVyEUIAEoZzJ.jpg
(左)出陣の舞
(右)森蘭丸

というわけで日本史がお好きな方にはぜひおすすめしたいです。
この機会にぜひご覧になってみてください。
スポンサーサイト

【美術鑑賞】ほとけの教え、とこしえに。展@根津美術館

ひとりで根津美術館の「ほとけの教え、とこしえに。」展へ。

美術品はフィーリングで鑑賞するのが好きなので美術史のことはよくわからないのですが、主に古代日本仏教史の流れがつかめる内容になっていて、なかでも来迎図が印象に残りました。
来迎図というとやはり平安時代の浄土信仰を想起します。

平安時代の仏教信仰では密教もかなり大きな影響を与えていますが、こちらはまだまだ入り口すらつかめてないのでもっと学んでいきたいところです。

また南都六宗のうちの法相宗にまつわる法相曼荼羅も展示されていて、それまでどこか縁遠かった法相宗の息吹? を感じたのでした。

また今回は再び春日宮曼荼羅に出会えただけでなく(初めて根津美術館を訪ねたのが春日宮曼荼羅の特別展のときで、心惹かれたのを鮮明に覚えています)、展示室3で春日若宮大般若経と春日厨子もお目にかかれたので、一昨年の夏に訪ねた春日大社をなつかしく思い出したのでした。

さらに今回は大好きな雛人形や雛道具の数々も見られましたし、なにより茶道具の名品(鬼熊川茶碗 銘 白桃や赤楽茶碗 銘 ハッサイなど)を見られて僥倖でした。
先日箱根旅行のおりに訪ねた箱根美術館で「初時雨」や「田子の浦」を観て感銘を受けたので、改めて茶道具の美に魅せられました。
二つの美術館でそれぞれ違う火襷の器を観られたのもなにかのご縁だったのでしょう。

ミュージアムショップではポストカードを購入。
今回の展示されていた茶道具はほとんどなかったので、直感で気に入ったものを選びました。

12321697_1726386780917623_7918270227861600421_n.jpg
内裏雛 明治時代 武田恆正氏寄贈

12063848_1726386800917621_6115989675650879515_n.jpg
春日宮曼荼羅 南北朝時代(部分)

12928437_1726386807584287_2847106099463850927_n.jpg
左上:重要美術品 井戸茶碗 銘 三芳野 朝鮮時代
右上:重要文化財 雨漏茶碗 朝鮮時代
下:重要文化財 鼠志野茶碗 銘 山の端 美濃 桃山時代

根津美術館オリジナルのお香も気になったんですが、今回の展覧会のお香が白檀オンリーだったのと、他にもまだ開けていないお香がいくつもあったので見送りました。
根津美術館のお香は春日宮曼荼羅展のものを持っていますが、落ち着いた風情のある香りで気に入っています。
もともとお寺のお香が好きで三井寺や仁和寺のお香も持っているので、根津美術館のどこかいにしえを思わせる香りのお香は大好きなんです。
もう少し手持ちのものを味わってから買い求めたいと思います。


展示をひととおり観たあとは久しぶりに庭園へ。
花は少なかったですが、気持ちの佳い気候だったので晴れ晴れとした気分になりました。

12670694_1726386730917628_7696209463052063464_n.jpg

12924353_1726386754250959_4211845060679892732_n.jpg

10406870_1726392300917071_1480314506348523670_n.jpg

10649833_1726386744250960_1045576405877986181_n.jpg

【美術鑑賞】トーハク総合文化展【童子切安綱】

今日は久しぶりにひとりでトーハクへ。

お目当は仏教美術。
先日末木文美士さんの『日本宗教史』を読んで改めて日本古代の諸宗教に関心を持ったので足を伸ばしてきました。
ちなみに今は同じく末木さんの『日本仏教史』を読んでいます。

仏教美術というと私はフィーリングで鑑賞するのが好きなのですが、今回は特に平安時代に着目して鑑賞してきました。
(写真の仏像はすべて平安仏です)

10268434_1716541561902145_5463871096636239755_n.jpg
不動明王立像

12791081_1716541568568811_5158493023375058676_n.jpg
吉祥天立像

12804910_1716541591902142_3168455927223249267_n.jpg
国宝 広目天立像

10660129_1716541598568808_2646990809736483106_n.jpg
重要文化財 毘沙門天立像

12802815_1716541691902132_3581588029663752284_n.jpg
毘沙門天立像

12799060_1716541655235469_5583360954126098615_n.jpg
重要文化財 日光菩薩坐像

こうしてみると洗練された鎌倉時代の仏像とは違って素朴な味わいが目につきます。
これまでは平安仏の良さがあまり分からなかったのですが、具象性・写実性に富んだ鎌倉時代の仏像よりも柔和な趣があっていいものだなぁと感じました。

アカデミックな場を離れて個人的に学んでいこうとするとモチベーションの維持という壁に阻まれてしまいますが、こうして美術館に足を運んでビジュアル資料を取り入れてみるといいのかなとも思います。
平安仏というと、トーハクで今年の秋に平安仏の特別展があるそうなので今から楽しみです。

それから写真に収めたのは平安時代の仏画や写経、大学時代に関心を抱いて以来美術館に行くたびにチェックしている銅鏡、平安時代といえばこれ抜きには語れない「白氏文集」など。

1936174_1716541711902130_3491542537390008455_n.jpg
国宝 十六羅漢像(第一尊者)

12806130_1716541721902129_8922169859521141918_n.jpg
国宝 十六羅漢像(第十六尊者)


12814755_1716543575235277_4277215883520863425_n.jpg
藤原行成筆 白氏詩巻

時代が下って伊達政宗の書状も思わず撮ってきました。
12512262_1716541791902122_7053366311746916564_n.jpg
消息 伊達政宗筆

12803162_1716541801902121_8032753347328099017_n.jpg

戦国武将の書状といえば、3/19〜國學院大學博物館で織田信長・豊臣秀吉の書状が公開されるということで気になっています。



それから今日は雛まつりということで写真の古今雛をはじめとした江戸時代の雛人形がいくつも展示されていました。
元々雛人形が好きなのでこうして普段はなかなか観ることのない古い雛人形を見られて嬉しかったです。
雛道具には紫檀を使うなど贅をこらしたものもあり、こちらも見所が多かったです。

12806130_1716541831902118_8444049000534267953_n.jpg

ちなみに我が家の雛人形は大垂髪ではなく髪を結わない垂髪の女雛。
なかなか垂髪の女雛を見かけないのでなんだか恋しくなってしまったのでした。
垂髪の女雛は平安情緒があって大好きなのです。


最後に童子切安綱。

10420328_1716541825235452_4580753814157346397_n.jpg

とうらぶからはすっかり離れてしまいましたが、刀剣を鑑賞する楽しみを教えてくれたゲームでもあったので観てきました。
平日の昼間ということもあり、またとうらぶでは未実装ということもあってか、三日月宗近や獅子王の展示のときとは打って変わってがらんとしていて少々ショックでした。
一過性のブームで終わることなく、息の長い刀剣ファンが増えてくれるといいのですが……。

【美術鑑賞】世界のブックデザイン 2014-15@印刷博物館 P&Pギャラリー

彼の提案で「世界のブックデザイン」展へ。

どんなものが観られるか楽しみにしていたのですが、期待を裏切らないというか期待以上のブックデザインの数々を目にすることができて嬉しかったです。
私はデザイン関係の仕事をしているというわけではありませんが、もともとデザインやフォントを含め、本の装丁に興味があったので今回の展示ではいろいろと刺激を受けました。

数ある本の中でも目に付いたのはモノクロの装丁のもの。
表紙がモノクロだったりモノクロの写真を全面的に使っていたり……そんな本に惹かれましたし、ミニマムな表現というものについて考えるきっかけをもらいました。
モノクロに惹かれる理由は何なんだろう、と考えていたのですが、それは「現実(今という時代そのもの)」から逃避することを志向する私にとってモノクロは最も端的な逃避手段であり表現手段なのかもしれない、と思い至りました。

そしてふとモノクロの写真を撮ってみるとまた違った世界が見えてきそうだな、と思いつきました。
今回展示された写真集の中にも見る者の不安を掻き立てるようなモノクロの写真が集められた一冊があって「こういう主題のよくわからないものの方が自分の心象風景を的確に表現できるのかもしれない」とも思ったのでした。
写真というものの表現の可能性を垣間見た気がして、収穫のある展示だったなと感じています。

収穫といえば、なによりも中国のブックデザインの洗練されたセンスを目の当たりにできただけでも大いに得るものがありました。
中でも気に入ったのは「湘夫人的情詩」と題された詩集。紫をキーカラーに、繊細な花々とともに漢詩が品よく並んでいるさまは美しかったです。
他にも敦煌をテーマにした本は古典籍をイメージしたような装丁だったり、紫禁城をテーマにした本はユーモアに富んでいたりと、見所の多い本が並んでいました。
中国のブックデザイン賞は装丁だけでなく「中国の文化を伝える本」を選考対象にしているそうで、選考対象外の本にもきっと秀逸な装丁の本がたくさんあるのだろうと思うと夢が広がります。

彼は中国の愛書文化を指摘していましたが、云われてみれば中国は書籍を愛好する文化が連綿と受け継がれてきたのですね。
(そういえば私が気になっている本に『書誌学のすすめ―中国の愛書文化に学ぶ』という本があったのを思い出しました)
一昨年のトーハクでの故宮博物院展でも四庫全書などが展示されていたのが思い出されます。
現代でも形を変えてそうした愛書文化が引き継がれているのは頼もしくもあり、また中国へのロマンを掻き立てます。

日本のブックデザインは残念ながらこれといったものが見当たらず……。
昨年出た泉鏡花(作)/山本タカト(画)『草迷宮』特装版も展示されていたのですが、私は入手できなかったこともあって想像をたくましくしすぎたらしく、現物のデザインにはがっかりしてしまいました。もっと重厚感のあるデザインだと思っていたのです。
小口がライムグリーンだったのがなによりもがっかりポイントだったかもしれません。

池澤夏樹訳の『古事記』もそれほどでもないような……。
もっとデザイン性に秀でた本はたくさんあるはずなのに、どこか出し惜しみしているのかな? という印象を受けました。
唯一はっとさせられたのは森山大道の『ヴィヨンの妻』をイメージした写真集。
実は観たかったにもかかわらず観そこねてしまった展示の写真集でもあったこともあり、またモノクロ写真であったこともあり、強く心惹かれました。
森山大道、前から気になっていたのですがなかなか写真を観る機会がなくて。
もっと写真展にも通ってみたら違う刺激を得られるかもしれませんね。


そして展示を観終えたのち、自分の本棚でブックデザイン賞を選ぼうと彼と企画し、さっそくやってみました。


1|やなぎみわ『Fairy Tale』
image3.jpg

image4.jpg

少女と老女が織りなす、おどろおどろしい『暗黒童話』の世界。
朝日新聞の書評にも取り上げられたこともある、インパクト大な写真集です。
赤い表紙がひときわ目を引き、中身はモノトーンで構成されているデザイン性の高い一冊。
どうも私はモノクロ+赤の色彩がいっとう好きなようです。



2|玉三郎“美”の世界展 図録
image1.jpg

image2.jpg

云うまでなく当代随一の女形・坂東玉三郎の写真展の図録。
図録にしては函入りと手が込んでいるうえに、表紙のデザインにはっと惹きつけられます。
中身の写真の配置もこの通り。さながらカタログのようになっています。
歌舞伎だけでなく舞台衣装や小道具の数々など、これ一冊で坂東玉三郎の歌舞伎役者人生を知ることができる一冊に仕上がっています。



3|北原白秋『思ひ出』
image8.jpg

image9.jpg

彼の柳川土産としてもらった一冊。
掌サイズのレトロなデザインに白秋の叙情豊かな詩の世界が広がります。
白と赤を基調としているところが童話チックで愛らしい本です。



4|ジョルジュ・バタイユ『眼球譚』
image5.jpg

image7.jpg

バタイユといえばこの本、と思い出す方も多いのではないでしょうか。
なんといってもこの函のデザインが目を引きます。
黒をベースとしたモノトーンデザインの本は重厚感があってやはり映えますね。
私は残念ながら『眼球譚』を光文社新訳文庫版で読んでしまったので、こちらできちんと読み直したいところ。
実はこの版は未読です……。

いかがだったでしょうか?
私は実際に自分の本棚の本でやってみて、ますます本への愛着を掻き立てられました。
これからももっともっと本を愛していきたいです。

【美術鑑賞】プラド美術館展@三菱一号館美術館

今日は年末最後のお出かけということで、両親と三菱一号間美術館のプラド美術館展へ。
久々の西洋絵画ということで前から楽しみにしていたのです。
幅広い年代の名品の数々が一堂に会した展示は華やかで、心に残る作品もたくさんありました。
私の好きな聖母子像のモチーフの作品も美しいものが多く魅了されましたし(ムリーリョの「ロザリオの聖母」をはじめ、メムリンクの「聖母子と二人の天使」モラーレス「聖母子」など)、花を描いた静物画も好きなのでヤン・ブリューゲル1世の「花卉」には見入ってしまいました。

今回の展示のなかでも惹きつけられたのはサロモン・コーニングの「ある哲学者」。膨大な量の文字が綴られたノートにペンを走らせつつも、肩肘をついてこちらを見つめる哲学者の図はまさに17世紀のインテリジェンスそのもの。
つい見惚れてしまいました。
想起したのは映画「屍者の帝国」のフライデー。
どうにもこういう図に弱いみたいです。
またゴヤの「トビアスと天使」もまばゆい逸品で、全体的に良質な作品が目白押しでした。

図録を購入したかったのですが、2700円とややお高かったので神保町で探すつもりです。
ポストカードはすべて二枚組での販売で、一枚は拡大図という仕上がりの上にフォーカスする箇所が意に沿わなかったので購入せず。
美術館でのポストカードは普段自分の観賞用にと取っておくタイプなのですが、気に入ったものを二枚買ってメッセージカードとして近しい人に贈るのもいいなぁと思っていたので今回は残念でした。

いずれにせよ展示自体は素晴らしかったので、またご縁があれば会期中に赴きたいです。
プロフィール

夕星桔梗

Author:夕星桔梗
元日本古代史ゼミ所属。作家志望のアマチュア物書き。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
twitter
Booklog
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。